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その場の空気で書く日記

【アニメ鑑賞記】「BNA ビー・エヌ・エー」第6話まで【イラつく主人公】

bna-anime.com

 「キル・ラ・キル」ファンとしては、TRIGGERのオリジナル新作アニメときたら観ないわけにはいきません。といっても、以前のTRIGGER作品を全部チェックしていたわけではないのですが。

 ざっくりと作品の概要を説明すると、獣人が存在する世界で、人間に迫害されがちな獣人が、巨大製薬会社の支援のもと作り上げた「アニマシティ」で起こる様々な事件を通して、人間からなぜか獣人になってしまった主人公の女の子がいろいろする話です。

 物語は、人間から突如タヌキ獣人になった主人公・影森みちるが、人間の街からアニマシティに移り住むところから始まります。獣人狩りを楽しむ人間たちの追手から逃れ、ミンク獣人の助けを借りてアニマシティに渡ったみちる。

 自分の想像と異なるアニマシティの獣人社会に戸惑いながら、徐々に馴染んでいくみちる。しかし、図らずも彼女の世話役となったオオカミ獣人・大神の助言を無視して突っ走りまくる彼女の言動に、私は毎回イライラしていました。

 世間知らずの女子高生、ということでは片づけられない無鉄砲ぶり。その独善的な言動で周囲の獣人(おもに大神)を振り回し、どれだけ迷惑をかけても自分が正しいと信じて疑わない姿勢。こんなにイラつく主人公も珍しいと思うくらいです。

 はたして原作の中島かずきは、このイラつく主人公を通して何が言いたいのか。こんな無茶苦茶な奴を、若さと純粋さだけで肯定するつもりか。それともこんな風に考えるのは自分が大人になってしまったからなのか。などと考えさせられました。

 そして第6話。みちるの親友で、彼女もまた人間から獣人となって、謎の組織にさらわれていたキツネ獣人・日渡なずなが現れます。すべての獣人が神と崇める伝説の存在・銀狼を崇拝する宗教「銀狼教」の教祖となって。

 自分と同じ「不運」に見舞われているなずなを、みちるは教団から救い出し、人間に戻る道を探そうと考えます。しかしなずなは、すでに大人の世界に足を踏み入れていて、アイドルになるという自分の夢のために、周りの大人たちを利用すると宣言して憚りません。そして、みちるの無鉄砲さや独善をズバズバと指摘するのです。

 案の定、なずなの指摘に対して「お前なんか友達じゃねぇ!」とブチ切れるみちるです。思い込みが激しく、相手の迷惑も顧みずに善意を押し付けるみちるの厚かましさに鬱憤を溜めていた私は、ここでだいぶスッキリしました。

 みちるに対するなずなの指摘こそは、私がずっと抱いてきたモヤモヤをはっきり表現したものであり、彼女の台詞に「やっぱそうだよな!こいつイラつくよな!」と共感することしきりの私です。

 こんな青臭いだけの主人公を、そのまま肯定して放っておいていいはずがないんです。それを、物語の中盤できっちりへし折ってくるあたり、さすがは中島かずきと唸らざるを得ません。良き良き。

 さぁここからが本番。いろいろと懸案の謎もあり、それらが明かされていく過程で、みちるの成長が見られるのかどうか。ラストまでに彼女が大人になることはないでしょうが、大人への一歩を踏み出すくらいで結末を迎えるのだろう、などと予想していますが果たして。

 みちるの無鉄砲をそのままにしておく世界ではない、ということがわかり、この先の展開を安心して見守ることができそうです。楽しみになってきました。

  ちなみに、OP曲「Ready to」のノリの良さ、ED曲「NIGHT RUNNING」のオシャレ感ともに、音楽も魅力的な作品です。さっそくポチってiPhoneでヘビロテしております。

TVアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』OPテーマ「Ready to」

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TVアニメ『BNA ビー・エヌ・エー』EDテーマ「NIGHT RUNNING」

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アニメ鑑賞記『ID:INVADED』個人的には人生のオールタイムベストに入る作品

 先月からAmazonプライム会員になり、気になっていたけれど本放送で見れなかったアニメをぼちぼちチェックしております。

 その中で近年稀に見るハマり具合だったのが『id:INVADED(イド:インヴェイデッド)』です。

 ※以下、ネタバレありなのでご注意ください。

 本放送前のチェックで、キービジュアルやあらすじを見て「まぁ、面白そうではあるけど、攻殻サイコパスの焼き直し感は否めないな」と勝手に想像してしまい、チェックリストから外していました。(これについては、作品の紹介文を書いた宣伝部の人(?)が悪いと、勝手に人のせいにしています。)

 しかし、実際に観てみると、攻殻サイコパスのような電脳ものではなく、人の意識や精神と、それらを通じて謎に迫る過程に重きを置いた筋立てで、そこにアクセスするツールに関する細かい描写や設定は見せず、単なる道具として扱われています。サイバーパンクよりはサイコサスペンスに属する物語のように思えます。

 物語の重要な要素としては、連続殺人鬼と、彼・彼女らを裏で操る黒幕「ジョン・ウォーカー」。空間に漂う殺意「思念粒子」とそれを検出する機器「ワクムスビ」。思念粒子を基に、個人の深層意識をなんらかのテクノロジーで電子的に再現した世界「イド」。イドの構築とそこへのアクセスを可能にする装置「ミヅハノメ」。そして主人公であり捜査官であり、本人も連続殺人者である鳴瓢秋人(なりひさごあきひと)と、彼がイドの中で扮する名探偵・酒井戸(さかいど)。

 ガジェットの名前を日本神話から持ってきているところに、厨二心をくすぐられます。

 ミヅハノメを使って連続殺人の捜査にあたるのが「蔵」という組織で、イドに潜入した酒井戸をサポートし、推理と捜査を進めるのが「井戸端」と呼ばれるメンバー。これまた面白いネーミングです。

 イドに「投入」された鳴瓢は、記憶を失った状態で目覚めます。そしてイドに必ず登場する少女の死体を見た瞬間、自分は名探偵・酒井戸であり、その少女の名が「カエルちゃん」であり、自分は彼女の死の謎を解くためにここにいる、ということだけを思い出します。イドにいるカエルちゃん。「井の中の蛙」にかけたんでしょうか。

 全編を通して、一番グッと来たのは、第10話「INSIDE-OUTEDⅡ」。イドの中から、さらにもうひとつのイドに潜った酒井戸は、そこでなぜか鳴瓢に戻り、殺された妻子と共に過去の時間を過ごします。徐々にその世界になじみ、まるでそこが現実であるかのように錯覚していた鳴瓢ですが、もう一人の名探偵・聖井戸(現実では本堂町)が外からやってきて、そこが現実ではなくイドの中のイドだということを思い出させます。

 かつての幸せな生活に浸っていた鳴瓢が、現実との狭間で葛藤に苦しむところに、胸を締め付けられる思いがしました。

 仮想現実をまるで現実のように錯覚し、そこで現実の自分とその目的を忘れてしまう。昔話にありそうな展開ですね。あるいはフィリップ・K・ディックの「トータル・リコール」を思い出します。

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 映画の話ついでに、この作品でもうひとつ思い出した映画があります。

 連続殺人鬼のひとり、通称「アナアキ」は、人の頭にドリルで穴を開けて殺すのですが、彼自身も何者かに穴を開けられ、奇跡的に死を免れた人間です。後半、彼も名探偵・穴井戸として捜査に関わるのですが、のちに数唱障害(この字で合ってるかどうかわかりませんが、Wikipedia強迫性障害の項に「数唱強迫」というものがあったので、おそらくこれだと思います)であることが明らかになります。

 とにかく数を数えてしまうという症状なのですが、数への異常な執着と、ドリルで頭に穴を開けるという部分で、1998年の米映画「π(パイ)」を思い出しました。主人公は、世界のあらゆる現象を予測可能な数列を、自作のスパコンで導き出しますが、やがてその数列に憑りつかれ、ラストでは鏡の前で自分の頭にドリルで穴を開けてしまいます。日本での公開当時(1999年)、名古屋シネマテークへ観に行きました。

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 映画の話ではありませんが、さらにもうひとつ。アナアキと本堂町とのやり取りで、頭に穴が開いたことで、本来の自分に戻れた気がする、という内容の会話がありました。ここで、自身の体の一部が不要なものだと感じ、切り落としてしまいたいという欲求に駆られるという「身体完全同一性障害」の話を思い出しました。実際に手や足を切り落としてしまい、それで精神的な安定を得たという人の話を、昔どこかで読んだ記憶があります。

身体完全同一性障害 - Wikipedia

 作品を観ていて、いくつか思い出したことを書いてきましたが、物語のラストはきちんと盛り上がり、きちんと収まっていて、とくにモヤッとしたものを残さない、綺麗な終わり方だったなと思いました。個人的に、一番の見どころは10話なので、ラストはおかしなヒネリやどんでん返しもなく、スッキリした終わり方で良かったと思います。もしかしたら続編もありや?という含みも残されていて、そこら辺もぬかりない作りになっていました。

 いやこれマジでめっちゃいいアニメです。私の人生の名作リストに名を連ねました。(※あくまで個人の感想です)

おかしなガムボールのとあるエピソードに出てきたキャラがEテレの某アニメに出てきそうな件

 最近、ひかりTVでカートゥーンネットワークを観ています。

 去年までディズニーチャンネル一択だった息子氏が、とうとう飽きたのかカートゥーンネットワーク(CN)に鞍替えしたので、自動的に私も横目でCNを観ることになりました。

 そこで毎日流れている「おかしなガムボール」という米英合作のナンセンスギャグアニメがあります。アニメ、クレイアニメ、実写、CGなど、様々な画像や映像を組み合わせて作られている、かなり変な作品で、日本のアニメでは見られないギャグセンスが新鮮に感じられます。

 主人公はガムボールという水色の猫で、父親はピンクのうさぎ、母親はガムボールと同じ水色の猫、妹は父親と同じピンクのうさぎで、同居している親友なのかペットなのか弟なのかよくわからない存在がダーウィンで、こいつは金魚が進化して手足が生えたものです。主要な登場人物を見ただけでも、おかしな作品です。

 ガムボールが通う学校の校長はメガネをかけた灰色のモリゾーで、担任の女性教師はチンパンジー、クラスメートにはサボテン、ハニワ、ふわふわしたやつ、雲、ゴースト、風船、実写の逆さくちびる?などがいます。

 そのとあるエピソードで、妹のアナイスの友達が登場します。アナイスはまだ4歳ですが天才で、友達がいません。そのアナイスにも友達ができますが、ガムボールたちが盗み見した日記によると、どうやらその友達が人付き合いの苦手なアナイスを利用して、面倒なことや色々を押し付けているのではないかと疑うガムボールたち。

 その友達がどんな奴なのか、学校へ見に行くガムボールたち。そこへアナイスと友達が登場します。なんか鳥っぽい形をしたオレンジ色の友達が登場しますが、私はその友達にどこか既視感を覚えました。

 そう、その友達の容姿が、現在もEテレで放送されている「はなかっぱ」に出てきそうなキャラ造形なのです。出てきそうというより、若干はなかっぱに似ていると言えなくもない。

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おかしなガムボール/TM & © 2019 Cartoon Network. A WarnerMedia Company. All Rights Reserved.

右がアナイス、左がその友達

 もともと、ガムボールの家族以外は統一性のないキャラクターばかりが出てくる作品なので、それほど違和感はありません。ただ、息子氏が幼い頃、一緒にはなかっぱを見ていた私には、そのキャラだけ妙に親近感を覚えました。

 なぜうさぎと猫が夫婦なのか、そしてなぜその子供がうさぎと猫に分かれているのか、あのカラフルなふわふわした生き物は何か、あの実写の口は誰なのか、風船が何度割れても復活するのはどういうわけか、いろいろと謎が多すぎる作品ですが、そんなことが気にならない……と言ったらウソになるけど、そのくらい面白い作品です。

 近頃少し日本のアニメに飽きたところよ、Ah……というあなたにぜひおススメしたい作品です。

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今、話題沸騰中のトイレットペーパーをついに購入しました!

 よく買い物に行くスーパー(カネスエ)で、いつもは通り過ぎるだけの生活用品コーナーをふと見たら、普通にトイレットペーパーが置いてありました。

 先週、嫁さんが「どこにもない!」と騒いでいて、仕事帰りにドラッグストアに寄ったらやっぱり置いてなくて、すれ違った女子2人組が「なんだか楽しくなってきちゃったね」なんて言っているのが聞こえました。

 おそらくトイレットペーパーを探し続けてあちこち巡り歩いているうちにハイになってしまう「トイレットペーパーハイ」症状に違いない。

 そんな、どいつもこいつも欲しがってたトイレットペーパーが、何気に入ったスーパーに置いてあるなんて。どどど動揺を隠し、あまりトイレットペーパーをマジマジと見ないようにごく普通を装って、どのトイレットペーパーがいいか考えました。

 嫁さんがいつも買ってくるやつはドラッグストアの商品で、同じものはスーパーに置いてありません。置いてあるのは3種類で、どれもダブル。ごく普通のもの、香り付きのもの、柔らかいもの。

 どれにしようか悩みましたが、あまりトイレットペーパーの前で考え込んでいると、トイレットペーパーを買い慣れていないシロウトと勘違いされても嫌なので、一番値段の安い普通のトイレットペーパーにさっくり決めました。

 へー、置いてあるんだ。そっかー、最近品薄って聞いたけど、普通にあるんじゃん。まぁ別に困ってないけどね。デマなんか気にしてないし、家に在庫もあるから、そんな今すぐ必要ってわけでもないんだけど、一応念のために買っておこうかな。一応ね。いや全然焦ってないし、動揺もしてないけど、ちょっとくらい余分にあれば安心かなって。うん、全然平気。普通に買うだけだよ。

 っていう雰囲気を装って、どきどきしながらトイレットペーパーをカゴに入れました。

 あとはいつものように牛乳と納豆とバナナを入れてレジに行きました。レジのおば……お姉さんに「こいつもデマを真に受けて焦ってんのか」と思われてないか、少しだけ気にしながら会計を済ませました。

 家に帰り、嫁さんに向かってドヤ顔でトイレットペーパーを掲げました。

 喜ぶ嫁さん。誇らしい気持ち。

 トイレットペーパー買うだけでこんなに気分が盛り上がるとは思いませんでした。

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【映画鑑賞記】白夜のホラー『ミッドサマー』は思ったよりグロかった【ネタバレ注意】

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 久々にホラー映画を観ました。

 一昨年公開された『ヘレディタリー 継承』というこれまためっちゃ怖そうな映画があったんですが、知った時には公開終了してて、ビデオ出たら観ようかなーと思いつつすっかり忘れていた今日この頃。

 その映画の監督がまたホラーを作ったということで、今度は見逃すまいと意気込んで劇場へ向かいました。

 平日昼間のわりに、スクリーンは半分くらい埋まっていたと思います。そっか、中高生も休校中だから、みんなヒマなのね。どうりで劇場が入ってるショッピングモールもやたら若い子たちで混んでると思った。

 主人公はアメリカの女子大生ダニーとその恋人クリスチャン。さらにその男友達ジョシュ、マーク、ペレの3人。冒頭、ダニーの両親が、妹と共に亡くなってしまいます。失意のどん底に沈むダニー。

 そこへ、スウェーデンからの留学生であるペレが、故郷で夏至に開かれる祝祭へ仲間たちを誘います。クリスチャンはダニーに黙ってスウェーデン行きを決めたことで、2人の中は少々険悪になりますが、なんやかんやで一緒に行くことに。

 5人はペレの故郷で昔ながらの生活を営む共同体(アーミッシュみたいな)の集落・ホルガに滞在し、夏至の祝祭に参加することになります。映画のタイトル『ミッドサマー』の「サマー」のスペルはSUMMERではなくSOMMERで、夏を表す古語なんだそうです。映画の最初にタイトルが出た時、あれ?と思いましたがそういうことらしいです。

 現地に着くと、いきなり草かキノコっぽいものを摂取してみんなでトリップ。ペレと同じく、ホルガ出身の若者が他国から連れてきたカップルも合流します。はじめのうちは、牧歌的な雰囲気を楽しむ一行ですが、やがて始まった祝祭の中のイベントがわりとえげつないもので、「ぐちゃっ」という感じのアレなんです。だから「ぐちゃっ」という感じのやつが苦手な人は見ない方がいいです。

 そのイベントにショックを受けたカップルはホルガを出ていこうとしますが、まぁわかりやすい感じにこっそり消されます。ダニーたちもショックを受けますが、なんやかんやで帰らせてはもらえません。

 そうして、マークは聖なる木に立ちションして消され、ジョシュは聖典を盗んだとして消され、残るはダニーとクリスチャンのみ。ペレはもともとホルガの出身で、最初からグルです。そもそもペレがみんなを誘ったのも、ダニーを女王として迎え、他の人間はみんな祝祭への生贄とする目的があったからでした。

 やがてクリスチャンは一服盛られ、閉じられた共同体に必要な「外からの血」を受け入れるために、ホルガの少女と性交させられます。そして結局最後には消されます。

 ダニーはというと、女王に選ばれて儀式から帰ったところにクリスチャンの性交シーンを見てしまい、パニックに。嘆きの末におかしくなっちゃって、クリスチャンやその他の人たちが神殿のような建物に閉じ込められてまるごと焼かれるのを見て、ニンマリするのでした、というラスト。

 この笑顔を見た時、あーこれはなんか明るいバージョンの「シャイニング」みたいな話だな、と思いました。最初は恐怖に襲われる側だった人間が、取り込まれて恐怖を与える側になる、みたいなね。

 ホルガの住人たちは、みんな他者との共感能力でもあるのか、痛みや苦しみ、悲しみ、あるいは快楽も一緒に感じている、というような演出がありました。精神が繋がっているような?

 前半、クリスチャンたちがホルガ行きを決めた時、ダニーは行かないはずだったのに、クリスチャンが(恋人である以上、建前として)誘ったことで、みんなの予想に反してついていくことになりました。他の友達は「マジかよ……」という感じでしたが、ペレだけは歓迎していました。

 ペレは最初からダニーも連れて行くつもりで、というよりダニーこそがメインの目的だったことが後からわかるんですけど、なんでペレの思惑通りにダニーがホルガに行くことを決めたのか、そこはちょっと謎でした。何か伏線があったけど、気づかなかっただけかも。

 シーンのところどころで、風景がかすんだり、歪んだり、微妙に蠢いていたり、という演出がCGで作られていて、謎のキノコや草やなんかが、精神に影響している様が、不気味に表現されていました。

 白夜の中で話が進んでいくので、何日経ったのかわからず、時間感覚がおかしくなります。あと、ホラーっていうと暗闇から何かが……っていうイメージありますが、この作品はほとんどずっと明るい白夜の中で、あんなことやこんなことが巻き起こるので、なんかすごいストレートに訴えてくる感じがします。

 外から見たら狂っているようなことでも、ホルガの住人にとっては正しいことなので、やることがあからさま。その白昼堂々……いや白夜だから昼ではない場面もあるけど、明るいところで陰惨な出来事が行われる、というのは、物語の舞台の明るさと、登場する人間の内面の暗闇とを対比させているのではないか、なんてことを思いました。

 同監督のデビュー作『ヘレディタリー』も、いずれ観てみたいと思います。

 以上。

ヘレディタリー 継承(字幕版)

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