心は空気で出来ている

その場の空気で書く日記

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文系理系で盛り上がる今日のはてブ

具体と抽象 ―世界が変わって見える知性のしくみ

文系だからかどうかは知らないけど理系のことがよく分からない - Togetter

ZIPドライブ懐かしい。持ってなかったけど。むしろMO派だったけど。

2019/09/10 12:18

  文系・理系という分別と、レッテルの貼り方が雑過ぎる、主語がでかい、というご意見が、はてブのコメント欄に多数あります。

 これとよく似た現象で「血液型性格診断」という迷信がいまだに根強く残っている、というのもありまして、奇しくも今日のホッテントリに入っていました。

「A型の日本人とA型のブラジル人とA型のロシア人とA型のイタリア人が同じ性格なわけないだろう」血液型性格診断に対する不満爆発…だが諦めていく流れへ - Togetter

テレビ番組でヤラセ発覚して叩かれてたのに、いまだに信じてる人いるのが不思議。

2019/09/10 12:40

 いわゆる「レッテル貼り」のことを、もうちょっとそれっぽい言葉で言うと「抽象化」ということになりまして、噛み砕いて言うと「大雑把に捉えること」とでも言いましょうか。

 人が日々の生活で認識するものは、それこそ数えきれないほどあるわけですが、いちいち個別に把握していたら本当にキリがないので、似ているものは同じものとして十把一絡げにしてしまったほうが楽だよね、ということです。

 例えば、「犬」という抽象概念があります。これは抽象概念というより生物分類と言ったほうがより正しいのかもしれませんが、専門家ならともかく、素人が通常「犬」と言ったら生物分類上の犬ではなく、抽象概念としての犬です。

 抽象化がないと、ものを考えたり情報を伝達するのにものすごい手間がかかります。

 Aさん「あそこに、白と茶色の毛色が混じってて体が小さい割に目と耳が大きくて尻尾が巻いてて鼻が黒くていつも舌を出していて四足歩行の生きものが歩いてますね。」

 Bさん「はい、あの白と茶色の毛色が混じってて体が小さい割に目と耳が大きくて尻尾が巻いてて鼻が黒くていつも舌を出していて四足歩行の生きものがどうかしましたか?」

 Aさん「先週、うちの娘があの白と茶色の毛色が混じってて体が小さい割に目と耳が大きくて尻尾が巻いてて鼻が黒くていつも舌を出していて四足歩行の生きものを飼いたいと言い出しましてね」

 Bさん「もうチワワでいいですか」

 そう、チワワのことなんですが、いちいち見たままの特徴でチワワという抽象化された名前を使わなかったら、落語の「寿限無」みらいな感じになります。チワワも、同じ種類の犬を表す抽象概念と言えます。さらにレトリバーやら柴犬やらポメやらコーギーやら、いろんな種類の犬がいますが、全部ひっくるめて「犬」で済ませたい場合もあります。

 抽象化すると、楽です。思考や情報伝達が格段に楽になります。いわばデータの圧縮です。パケット節約です。

 件のTogetter主さんは、旦那さんのものの考え方がわからないと言っています。わからないでは困るし不安なので、旦那さんに理系というレッテルを貼り、抽象化したわけです。するとあら不思議、わからないはずのものが、抽象化することでわかったような気分になり、わからない中身をいちいち気にしなくても、理系の一言で片づけられるようになりました。

 抽象化には、細かいことをぼやかす効果があります。抽象化したものは、その具体的な中身を気にしなくても、名前を付けて、つまりレッテルを貼って思考の一部として扱うことができるようになります。中身がわかっていなくても、わかったものとして扱うことができるようになる便利な道具。それが抽象化です。

 文系・理系のレッテル貼りや、血液型性格診断などは、細かいこと考えるの面倒だけどわかったフリしたい、という需要に抽象化で応えた結果です。人の思考には、あらゆるレベルで抽象化が入り込んでいて、ある意味、思考とは抽象化の過程に他なりません。

 抽象化は、人がものを考えるには必要ですが、やりすぎると現実の事象から乖離するばかりで危険です。便利な道具も使い道を誤ると逆に面倒なことになる、というわけですね。

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