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【映画鑑賞記】白夜のホラー『ミッドサマー』は思ったよりグロかった【ネタバレ注意】

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 久々にホラー映画を観ました。

 一昨年公開された『ヘレディタリー 継承』というこれまためっちゃ怖そうな映画があったんですが、知った時には公開終了してて、ビデオ出たら観ようかなーと思いつつすっかり忘れていた今日この頃。

 その映画の監督がまたホラーを作ったということで、今度は見逃すまいと意気込んで劇場へ向かいました。

 平日昼間のわりに、スクリーンは半分くらい埋まっていたと思います。そっか、中高生も休校中だから、みんなヒマなのね。どうりで劇場が入ってるショッピングモールもやたら若い子たちで混んでると思った。

 主人公はアメリカの女子大生ダニーとその恋人クリスチャン。さらにその男友達ジョシュ、マーク、ペレの3人。冒頭、ダニーの両親が、妹と共に亡くなってしまいます。失意のどん底に沈むダニー。

 そこへ、スウェーデンからの留学生であるペレが、故郷で夏至に開かれる祝祭へ仲間たちを誘います。クリスチャンはダニーに黙ってスウェーデン行きを決めたことで、2人の中は少々険悪になりますが、なんやかんやで一緒に行くことに。

 5人はペレの故郷で昔ながらの生活を営む共同体(アーミッシュみたいな)の集落・ホルガに滞在し、夏至の祝祭に参加することになります。映画のタイトル『ミッドサマー』の「サマー」のスペルはSUMMERではなくSOMMERで、夏を表す古語なんだそうです。映画の最初にタイトルが出た時、あれ?と思いましたがそういうことらしいです。

 現地に着くと、いきなり草かキノコっぽいものを摂取してみんなでトリップ。ペレと同じく、ホルガ出身の若者が他国から連れてきたカップルも合流します。はじめのうちは、牧歌的な雰囲気を楽しむ一行ですが、やがて始まった祝祭の中のイベントがわりとえげつないもので、「ぐちゃっ」という感じのアレなんです。だから「ぐちゃっ」という感じのやつが苦手な人は見ない方がいいです。

 そのイベントにショックを受けたカップルはホルガを出ていこうとしますが、まぁわかりやすい感じにこっそり消されます。ダニーたちもショックを受けますが、なんやかんやで帰らせてはもらえません。

 そうして、マークは聖なる木に立ちションして消され、ジョシュは聖典を盗んだとして消され、残るはダニーとクリスチャンのみ。ペレはもともとホルガの出身で、最初からグルです。そもそもペレがみんなを誘ったのも、ダニーを女王として迎え、他の人間はみんな祝祭への生贄とする目的があったからでした。

 やがてクリスチャンは一服盛られ、閉じられた共同体に必要な「外からの血」を受け入れるために、ホルガの少女と性交させられます。そして結局最後には消されます。

 ダニーはというと、女王に選ばれて儀式から帰ったところにクリスチャンの性交シーンを見てしまい、パニックに。嘆きの末におかしくなっちゃって、クリスチャンやその他の人たちが神殿のような建物に閉じ込められてまるごと焼かれるのを見て、ニンマリするのでした、というラスト。

 この笑顔を見た時、あーこれはなんか明るいバージョンの「シャイニング」みたいな話だな、と思いました。最初は恐怖に襲われる側だった人間が、取り込まれて恐怖を与える側になる、みたいなね。

 ホルガの住人たちは、みんな他者との共感能力でもあるのか、痛みや苦しみ、悲しみ、あるいは快楽も一緒に感じている、というような演出がありました。精神が繋がっているような?

 前半、クリスチャンたちがホルガ行きを決めた時、ダニーは行かないはずだったのに、クリスチャンが(恋人である以上、建前として)誘ったことで、みんなの予想に反してついていくことになりました。他の友達は「マジかよ……」という感じでしたが、ペレだけは歓迎していました。

 ペレは最初からダニーも連れて行くつもりで、というよりダニーこそがメインの目的だったことが後からわかるんですけど、なんでペレの思惑通りにダニーがホルガに行くことを決めたのか、そこはちょっと謎でした。何か伏線があったけど、気づかなかっただけかも。

 シーンのところどころで、風景がかすんだり、歪んだり、微妙に蠢いていたり、という演出がCGで作られていて、謎のキノコや草やなんかが、精神に影響している様が、不気味に表現されていました。

 白夜の中で話が進んでいくので、何日経ったのかわからず、時間感覚がおかしくなります。あと、ホラーっていうと暗闇から何かが……っていうイメージありますが、この作品はほとんどずっと明るい白夜の中で、あんなことやこんなことが巻き起こるので、なんかすごいストレートに訴えてくる感じがします。

 外から見たら狂っているようなことでも、ホルガの住人にとっては正しいことなので、やることがあからさま。その白昼堂々……いや白夜だから昼ではない場面もあるけど、明るいところで陰惨な出来事が行われる、というのは、物語の舞台の明るさと、登場する人間の内面の暗闇とを対比させているのではないか、なんてことを思いました。

 同監督のデビュー作『ヘレディタリー』も、いずれ観てみたいと思います。

 以上。

ヘレディタリー 継承(字幕版)

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  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Prime Video